『リミッツ・オブ・コントロール』

2009年 アメリカ(115分)
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:イザック・ド・バンコレ、アレックス・デスカス、ジャン=フランソワ・ステヴナン


「自分こそ偉大だと思う男を墓場に送れ」という不可解な任務を与えられ、一人の男(イザック・ド・バンコレ)がスペインにやって来た。“孤独な男”なるコードネームを持つ彼は、任務遂行を目指してスペイン中を巡っていく。そんな“孤独な男”の前に、彼同様にコードネームを持つ名もなき仲間たちが現れ始めるが……。

ジム・ジャームッシュ監督、4年ぶりの新作。一応のストーリーらしきものに沿って映画は進行するものの、なぜそのような行動をとるのかという説明が全くないので全体像は最後まで見えないまま、そしてその割に細部がやたらとクリアで詳細に描写されている、という表現はいかにも夢っぽくて、「映画とは夢のようなもの」をいう作中のセリフをそのまま地でいったような作品です。ひとことで言うと、だれかの夢にそれなりの設定をつけ加えてスタイリッシュに映像化したような映画、でしょうか。

真正面から「この映画は面白いのか?」と問われたら、正直何と答えていいのかよくわからないのですが、ジャームッシュ監督のファンなら楽しめそうだけど、そうでなければ意味不明でがっかりするかも、というところ。個人的にはまず満足できる内容でした。

J2第40節 C大阪 VS 湘南

C大阪
 GK キム・ジンヒョン
 DF 羽田憲司藤本康太(→89′江添建次郎)、前田和哉
 MF 酒本憲幸黒木聖仁船山祐二(→89′濱田武)、石神直哉香川真司
 FW 乾貴士、カイオ(→89′西澤明訓
 (得点 船山祐二 61'、藤本康太 69')


【湘南】
 (得点 ジャーン 88')

どうしても勝ちたいここぞという試合で、セレッソがこんなに気持ちよく勝ったのはいつ以来だろう!最後の失点は余計だったけど、昇格争いのライバルである湘南相手に内容的にはまさしく完勝。今のセレッソは、攻めながら得点できない時間帯が続いても、90分の間にはなんとかしてくれるという期待がもてますね。

恩田陸『木洩れ日に泳ぐ魚』

あの旅から、すべてが変わってしまった。一組の男女が迎えた最期の夜明らかにされなければならない、ある男の死の秘密。運命と記憶、愛と葛藤が絡みあう恩田陸の新たな世界。

一人の男の死をめぐって、一組の男女が繰り広げる心理戦。恩田さんのミステリーにはよくあるシーンですが、ふとしたきっかけから事件の様相がガラリと入れ替わる展開があいかわらずうまいですね。恩田作品の登場人物が何かに気づくときの感じは、女性はこういうところを見て男性の浮気に気づく、みたいなのにちょっと似ていてぞわぞわするところはあるのですが…。ジャンル的にはいわゆる「安楽椅子探偵」もので、推理は想像と仮定に基づいていてミステリーとしての厳密性には欠けるのですが、テンポも良くすっきりまとまった舞台劇のような佳作です。

あらびき団

ガシャーン「ランドセルを背負う力」。やってることは学芸会なみですが、やりきるのが大事ですね。面白かったです。バキューム「吸引式テクノポップユニット」。ネタの内容じたいは特に面白くなかったけど、最後のミスで思いもよらない衝撃映像に。これを撮り直さないところがあらびき団のすごいところ。

ザブングル松尾が「壊れかけのRadio」を普通に熱唱。ある意味すごいけど…。どぶろっく「レンタル・ラブ」。毎回最低のネタだと思わせつつ、登場するたびにその記録を更新していくところが素晴らしい。梅小鉢「結婚式の歌・心からおめでとう」。どぶろっくに殴りこみ、みたいな紹介のされ方だったけど、いかにも女性らしい毒があってこのネタ単独でも充分楽しめた。

『息子のまなざし』

2002年 ベルギー/フランス(103分)
監督:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
出演:オリヴィエ・グルメ、モルガン・マリンヌ、イザベラ・スパール


職業訓練所で木工を教えるオリヴィエ。彼はある事件以来、心を閉ざして他人を受け入れられなくなっていた。そんなある日、フランシスという少年が訓練所に入所してくる。彼は木工のクラスを希望したが、オリヴィエから手一杯だという理由で断られた。だが翌日、フランシスが気になるオリヴィエは、自分のクラスで彼を受け持つことに。また、何故かフランシスへの尾行も始めたオリヴィエは、その後別れた妻マガリのもとへ。そしてフランシスの事を話すと、彼女に激昂される。フランシスは、実は彼らの幼い息子を殺した張本人だった…。

音楽・効果音やつくりものめいたセリフを全く用いず、極限まで抑制された描写で構築された作品。ドラマティックな展開はなく淡々と物語が進んでいくので、「どこが面白い?」と聞かれるとなかなか説明しづらいのですが、終始緊迫感があって退屈するところがなく、意外と時間の経過が早く感じられるのはよい文芸作品の証だと思います。

『コネクテッド』

2008年 香港/中国(110分)
監督:ベニー・チャン
出演:ルイス・クー、バービー・スー、ニック・チョン


娘を学校に送った帰り、何者かにより監禁されたグレイス(バービー・スー)。壊れた電話を修理してつながったのは、借金取り立て屋のアボン(ルイス・クー)の携帯電話だった。助けを求められたアボンはあろうことか発砲騒ぎを起こして指名手配されるが、アボンのニュースを知った警官のファイ(ニック・チョン)は事件のきなくささを直感する。

ハリウッド映画『セルラー』を香港でリメイクした作品。元ネタの方は観ていないのですが、終始途切れぬ緊張感とスピード感溢れる展開でとにかく圧倒的に面白くて、これはリメイク大成功じゃないでしょうか。ところどころコメディ風のシーンが入るのも香港映画っぽくていい感じです。そのうち『セルラー』も観て比較してみようと思います。

『サマーウォーズ』

2009年 日本(114分)
監督:細田守


天才的な数学力を持ちながらも内気な性格の小磯健二は、あこがれの先輩・夏希に頼まれ、長野にある彼女の田舎へ。そこで二人を待っていたのは、大勢の夏希の親せきたちだった。しかも、健二は夏希から「婚約者のふりをして」と頼まれ、親せきの面々に圧倒されながらも大役を務めることに……。

これは面白かった!“家族の絆”という伝統的なテーマと、バーチャルワールドでの戦いというSF的な設定をブレンドするさじ加減が絶妙で、家族ドラマ、SF、アクション、そして恋愛とさまざまな要素を盛り込みながら、ストーリーの軸は全くぶれていないところが素晴らしいですね。山下達郎のちょっと懐かしい感じの主題歌も、映画の雰囲気にぴったりでした。