東野圭吾『赤い指』

少女の遺体が住宅街で発見された。捜査上に浮かんだ平凡な家族。一体どんな悪夢が彼等を狂わせたのか。「この家には、隠されている真実がある。それはこの家の中で、彼等自身の手によって明かされなければならない」。刑事・加賀恭一郎の謎めいた言葉の意味は?

いわゆる倒叙ものの作品ですが、犯人側の計画がかなり穴だらけで本格ミステリーとしては少し弱いかな、と思いつつ読み進めていくとラストで意外な一捻り。最後まで読んでから振り返ってみると、社会派のテーマをミステリーとしての仕掛けとうまく絡めたなかなかの秀作でした。