ロバート・A・ハインライン『夏への扉 新訳版』

ぼくが飼っている猫のピートは、冬になるときまって夏への扉を探しはじめる。家にたくさんあるドアのどれかが夏に通じていると信じているのだ。そしてこのぼくもまた、ピートと同じように“夏への扉”を探していた―

旧訳版を読んだのはかなり以前なので、再読するようなつもりで新訳版を読んでみました。記憶のかなたの旧訳版と比較すると、全体的にはかなり軽やかになった印象。SFとしてはさすがに古くなってしまった部分も多いけれど、全編に漂う、明るい未来をめざそうとする前向きな気持ちはやはり清々しいですね。この作品の根底にある、未来への楽天的な希望が懐かしく感じられる時代になってしまったことは、ちょっとさびしいですけど。