森博嗣『スカイ・クロラ』

僕は戦闘機のパイロット。飛行機に乗るのが日常、人を殺すのが仕事。二人の人間を殺した手でボウリングもすれば、ハンバーガも食べる。戦争がショーとして成立する世界に生み出された大人にならない子供―戦争を仕事に永遠を生きる子供たちの寓話。

森博嗣さんの小説を読むのはけっこう久しぶり。飛行機にはまったく詳しくないので、専門用語などはよくわかりませんでしたが、映画版を先に観ていたので映像が頭に浮かんでスイスイ読み進めることができました。多少ネタばれになってしまいますが、映画版とは結末が異なり小説版は鬱になりそうな哀しいラスト。森作品はミステリーが多いですが、この「スカイ・クロラ」ではミステリーにおける謎解き部分がなくなって、森さんの厭世感たっぷりの世界観がより前面に出ているような気がします。読み始めたからには、とりあえずシリーズを追いかけてみようと思います。