森見登美彦『恋文の技術』

京都の大学から、遠く離れた実験所に飛ばされた男子大学院生が一人。無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。手紙のうえで、友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ―。

全編書簡形式で書かれた小説。お互いのやり取りではなく、主人公の側が出した手紙のみで構成されているのですが、その分だけ相手がどんな手紙を書いてきたのか想像しながら読むことできて非常に楽しかったです。また、さまざまな人たちとの文通のなかで、一つの出来事が多くの視点から描かれるというスタイルも個人的にはかなり好みです。まあ、これについては多少好き嫌いがありそうな気もしますが。

もちろんいつもどおりの小気味よい森見節も全開で、ニヤニヤしたりゲラゲラ笑ったりともう大満足。モテない男子大学院生のおっぱいへのこだわり、おっぱいに関する名言も多数盛り込まれておりますよ。この小説の中に「おっぱい」という単語が何回登場しているのか、これから読まれる方は数えてみてはいかがでしょうか?

読み終えた後、全部の手紙を時系列順に並び替えたい衝動に駆られること間違いなし。これはオススメです。