バリントン・J・ベイリー『禅銃』

栄耀栄華を極めた銀河帝国は、純人間が激減、黄昏の時を迎えていた。さらに、エスコリア声域に恐るべき究極兵器が出現、帝国は危急存亡にあるとの<託宣>があった。事態を重く見たアーチャー提督は艦隊を率いて調査に赴くが、一行が発見したのは人猿混合のキメラが手にした古色蒼然たる拳銃<禅銃>と、伝説の超戦士<小姓>の謎めいた姿だった…。

「後退理論」をはじめとして、惜しげもなく投入された奇抜なアイデアは非常に楽しいし、「禅」「小姓」といった日本的な要素も作品の混沌とした雰囲気を加速させていて魅力的。ただ、ストーリー自体は意外と起伏に乏しくて、ちょっと設定を活かしきれていないのかなという印象でした。