『チョコレート・ファイター』

2008年 タイ(93分)
監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ
出演:ジージャー、阿部寛、ポンパット・ワチラバンジョン


アクションの映像を観ただけで、同じ技を習得できる人並外れた能力を持っている美少女ゼン(ジージャー)は、最愛の母が末期の白血病に侵されていることを知る。ゼンは母からすべてを奪ったマフィアに復讐するため、自ら体を張って抗争に身を投じるが、そこで生き別れになっていた父マサシ(阿部寛)と再会を果たし……。

「マッハ!」「トム・ヤム・クン」に続く、タイ発のムエタイアクション映画。なんといっても主人公が女性、しかもノースタントですべてのアクションをこなしているというのがすごいですね。最近のセンスよく仕上げられた映画に慣れた目で観ると、ストーリーや演出など全体としては荒削りな部分が目につきますが、さまざまな場所でその場にある道具を駆使しながら繰り広げられる格闘シーンはジャッキー・チェンの映画を彷彿とさせ、正直細かいことはどうでもよくなってしまうほどアクションシーンのクオリティが高いです。

格闘シーンは香港映画と比較すると、あまり組み合わず一撃必殺に近い形で、頭部をガンガン狙っていくというスタイル。こちらの方がより痛みが伝わってくるし、力の弱い女性の戦い方としてはリアリティがあるような気がしました。主演のジージャーは、アイドル風の美少女という感じではないけど、たたずまいが上品でいい雰囲気。テコンドーの経験者とのことで、動きは軽快で所作に女性ならではの華麗さがありました。この映画では役柄上あまり表情を変えることはありませんでしたが、次の作品ではもっといろいろな表情を見てみたいです。