恩田陸『不連続の世界』

『月の裏側』に登場した塚崎多聞を主人公にしたミステリー・ホラー短編集。『月の裏側』の内容を覚えていなくても、特に問題なく読むことができました。集中の「砂丘ピクニック」という短編には『中庭の出来事』に登場した楠巴も登場しています。

恩田さんはさまざまなジャンルの小説を書かれていますが、個人的にはこの作品のようなホラー風ミステリーにいちばん「恩田さんらしさ」を感じます。ホラー風味であるにもかかわらずラストに救いが用意されていて、それがぬるいように思える部分もあるのですが、そのあたりも含めて好ましい雰囲気の作品でした。