金井美恵子『小春日和』

桃子は大学に入りたての19歳。小説家のおばさんのマンションに同居中。口うるさいおふくろや、同性の愛人と暮らすキザな父親にもめげず、親友の花子とあたしの長閑な<少女小説>は、幸福な結末を迎えるか?

少女小説」と銘打たれているものの、健気な少女が逆境に耐えたり、それを乗り越えて成長したりするような小説ではなくて、少し斜に構えたところから世の中を眺めつつも怠惰に過ごす、若い時期の女性に特有の視点から描かれた日常生活のお話です。本や映画に関する会話がけっこうたくさん出てくるのですが、はたから見てると鼻につきそうなんだけど本人たちは楽しそうなところとか、あるあると思うのと同時に、昔を思い出してうらやましくなりました。
10年後の彼女たちを描いた「彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄」という続編もあるようなので、こちらも読んでみたいと思います。