三谷幸喜『気まずい二人』

人見知りの三谷幸喜氏がホストを務める、世にも珍しい全く話の盛り上がらない対談集(?)です。冒頭の「この本の使い方」では、対談集であり、戯曲集であり、人見知りを克服するためのHOW TO本でもあると書かれているのですが、HOW TO本としては全く役に立たず、むしろ反面教師としたいような内容になっています。

特に前半は会話が苦手なために生じる不必要な間がいたるところに現れ、非常に気まずい雰囲気が漂っています。読んでいると三谷氏の俯いて固まっている姿が鮮明に浮かんできて、思わず笑ってしまいました。そして回を重ねるに連れ、徐々に対談に慣れていくとはいうものの、最後から2回目でも「永遠に続きそうな沈黙」が訪れたりしていて、いい歳した大人の本質なんてそんなに簡単には変わらないものだなあなんて思いました。

とはいっても、この本は10年以上も前のもので、最近では『ザ・マジックアワー』の宣伝で、テレビ番組に出まくっていた三谷氏ですから、トークが苦手なところはだいぶ克服されたのかもしれませんね。