道尾秀介『片眼の猿』

俺は私立探偵。ちょっとした特技のため、この業界では有名人だ。その秘密は追々分かってくるだろうが、「音」に関することだ、とだけ言っておこう。今はある産業スパイについての仕事をしている。地味だが報酬が破格なのだ。楽勝な仕事だったはずが―。気付けば俺は、とんでもない現場を「目撃」してしまっていた。

最近はまりつつある、サプライズエンディングの雄・道尾秀介さんの作品をまたまた読んでみました。うーん・・・これは、ちといただけないですね〜。一応今回もラストにはどんでん返しがあるのですが、そのために長編1冊を使って引っ張るほどのネタではないような気がしました。

叙述トリックを仕掛けているために生じる文章表現の違和感が大きすぎて、主人公の秘密はなんとなくこんな感じかな、というのが想像できてしまったのも痛い。同じ著者の「向日葵の咲かない夏」と、なんとなくトリックの仕掛け方が似てるんですよね。

この手の作風の作家さんを続けて何冊も読むのは、あまりよくないのかもしれないなあと反省。相変わらず気になる作家さんではありますが、しばらく道尾さんからは離れるかもしれません。