三津田信三『凶鳥の如き忌むもの』

怪異譚を求め日本中をたずねる小説家・刀城言耶は瀬戸内にある鳥坏島の秘儀を取材しに行く。島の断崖絶壁の上に造られた拝殿で執り行われる“鳥人の儀”とは何か?儀礼中に消える巫女!大鳥様の奇跡か?はたまた鳥女と呼ばれる化け物の仕業なのか?

刀城言耶シリーズ第2作。前作と比較すると登場人物は少なめで、人間消失トリックをメインとした構成は非常にシンプル。ホラーの要素はやや控えめになって、より直球勝負のミステリーに仕上がっています。そして、ラストで明かされるメイントリックは衝撃度が高く、これにはかなり驚かされました。ただ、このシリーズにはミステリーとしての骨格以外の部分にも期待するところが大きいので、民俗学的な薀蓄やホラー風味が薄れてしまったことはちょっと残念でした。