『ロックンローラ』

2008年 イギリス(114分)
監督:ガイ・リッチー
出演:ジェラルド・バトラートム・ウィルキンソンタンディ・ニュートン


ワンツー(ジェラルド・バトラー)とマンブルズ(イドリス・エルバ)は、地価上昇中のロンドンでひと儲けしようと不動産投資に手を出す。彼らは裏社会のドン、レニー(トム・ウィルキンソン)に多額の借金をするが詰めが甘かったために投資は失敗。そんなとき、会計士のステラ(タンディ・ニュートン)から700万ユーロ強奪の話が舞い込む。

ガイ・リッチー監督の原点に戻ったような作品という評価を聞いて、非常に楽しみにしていたこの「ロックンローラ」。ひとことでいうと「ロック、ストック〜」「スナッチ」を求めてしまうと少々物足りないものの、お得意の犯罪群像劇を軽快なテンポで楽しませてくれるまずまずの良作といったところでしょうか。

物足りなさを感じる最大の原因は、ズバリ全体的な緊張感不足。今回の作品はユーモアを基調としていて、それはそれで悪いことではないのですが、犯罪を扱った映画だけに、シリアスなシーンとのメリハリをつけてほしかったところです。また、複数の視点を並行して描きながら、最後に一点で収斂させるという「ロック、ストック〜」などでも用いられた手法が使われていますが、これも残念ながら気持ちよくビシッと決まったとまではいえず、ややすっきりしない印象でした。

とはいえ、マドンナの呪縛から解放され(?)、もう一度かつて向かっていた方向に戻りつつあるのは確実だと思うので、次回作にこそ完全復活を期待したいと思います。