『カッコーの巣の上で』

1975年 アメリカ(129分)
監督:ミロス・フォアマン
出演:ジャック・ニコルソン、ルイーズ・フレッチャー、マイケル・ベリーマン


刑務所の強制労働から逃れるため精神異常を装ってオレゴン州立精神病院に入ったマクマーフィ(ジャック・ニコルソン)は、そこで行われている管理体制に反発を感じる。彼は絶対権力を誇る婦長ラチェッド(ルイーズ・フレッチャー)と対立しながら、入院患者たちの中に生きる気力を与えていくが……。

アカデミー賞主要5部門受賞の歴史的名作ですが、今回が初見です。刑務所に服役ことを嫌い、精神病のふりをして精神病院に入院してきたマクマーフィは、自由を求めて、他の患者たちを勇気づけ、暴君的な存在として患者たちの上に君臨する婦長に徹底的に反抗する…といったお話。

精神病院という閉じた世界における人間の尊厳のあり方、というのが一見したところのこの作品のテーマだと思われますが、ちょっと穿った見方をすれば、マクマーフィの視点からは悪の権化のように描かれている婦長が、本当に悪の側なのか?実際の彼女は、精神病の患者達を忍耐強く見守る信念をもった人物であり、実は病んでいるのはマクマーフィの方ではないのか、などなどいろいろと深読みすることもできそうです。

ちょっと考えすぎかもしれませんが、こうした深読みを許す余地があるのも、名作と呼ばれる作品のふところの深さ。これはもっと早くにみておくべき映画でした。