『ぜんぶ、フィデルのせい』

2006年 イタリア/フランス(99分)
監督:ジュリー・ガヴラス
出演:ニナ・ケルヴェル、ジュリー・ドパルデュー、ステファノ・アコルシ


1970年代のパリ。弁護士の父(ステファノ・アコルシ)と雑誌記者の母(ジュリー・ドパルデュー)を持つアンナ(ニナ・ケルヴェル)は、名門のカトリックスクールに通うお嬢様。しかし、スペインで反政府活動を行っていた伯父の死をきっかけに、父と母は社会的良心に目覚め、アンナと幼い弟を残してチリへ旅立ってしまう。

この映画の舞台となっている時代の歴史的・政治的な背景があまりわかっていないので、少し話についていきづらいところもありましたが、簡単にストーリーを要約すると、裕福な家庭でなに不自由なく育った少女が、両親が共産主義主義者になったことによって生じるさまざまな変化に対し、憤りながらも一生懸命考え理解しようとする…というお話。

主人公のアンナは自分の理解できないことを質問として大人にぶつけ、納得ができなければさらに考える、あるいはとりあえず行動に移してみる。こうした探求の過程で彼女の発する疑問が、意外といいところをついていてニヤリとさせられたり、なるほどと思わせられたり、言葉で説明されると難しい思想のあり方も、子供の行動として見せられるとすんなりと心に入ってくるような気がしました。

この映画には「フランスから生まれた仏頂面のヒロイン」というキャッチコピーがつけられているようですが、主人公のアンナを演じた女の子はふてくされた顔をベースに、怒ったり、考え込んだり、ときおりニッコリ笑ったりとめまぐるしく表情を変える演技が素晴らしかったと思います。ちょっと変わった視点から描かれた社会派映画。なかなか面白かったです。