万城目学『鴨川ホルモー』

このごろ都にはやるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ。葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。このごろ都にはやるもの、協定、合戦、片思い。祇園祭宵山に、待ち構えるは、いざ「ホルモー」。「ホルモン」ではない、是れ「ホルモー」。戦いのときは訪れて、大路小路にときの声。恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。京都の街に巻き起こる、疾風怒涛の狂乱絵巻。都大路に鳴り響く、伝説誕生のファンファーレ。前代未聞の娯楽大作、碁盤の目をした夢芝居。「鴨川ホルモー」ここにあり!!

読む前はもっと変な小説かと思っていたのですが、「ホルモー」という競技(?)の奇想天外な設定を除けば、恋愛あり友情ありバトルありの、きわめてオーソドックスな青春娯楽小説でした。登場人物のキャラ設定がやや類型的だったり、主要な人物以外はほとんど背景のような扱いだったりと荒さが感じられる点もいろいろとあるのですが、テンポのよさですいすい読めるし、後半の盛り上がりはなかなか楽しめました。近々映画化されるようなので、そちらも期待したいところです。