舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』

迷子捜し専門のアメリカ人探偵ディスコ・ウェンズデイの目の前で六歳の梢に十七歳の梢が侵入。真相の探究は全てを破滅へと誘う。謎の渦巻く円い館と名探偵の連続死。魂を奪われた少女たちと梢を苛む闇の男。真実なんて天井にぶら下がったミラーボール。眩い光にダンスを止めるな。踊り続けろ水曜日。

これはすごい!上巻は怒涛の多重解決ものとして、内容が少々過剰すぎるものの一応ミステリの枠内におさまっていると思うのですが、下巻となるともはやジャンル不明。上巻で広げに広げた大風呂敷を、さらに限界までスケールアップして、文章で表現することのできる世界の極限を追求しようとしているかのようです。

あまりに膨大な要素が複雑に絡み合っているため、ラストできっちり物語が収束しているのかどうかも正直よくわからないのですが、少なくとも、今後バカミスといわれるジャンルの作品を書こうとする作家さんにとっては、これ以上ないぐらい高いハードルになりそうな、とてつもない小説であることは間違いないと思います。