横山秀夫『半落ち』

「妻を殺しました」。現職警察官・梶聡一郎が、アルツハイマーを患う妻を殺害し自首してきた。動機も経過も素直に明かす梶だが、殺害から自首までの二日間の行動だけは頑として語ろうとしない。梶が完全に“落ち”ないのはなぜなのか、その胸に秘めている想いとは―。

2003年の「このミス」国内編1位。アルツハイマーの妻を殺して自首した警察官の夫が、殺人から自首までの空白の二日間に何をしていたのか、という謎がミステリーとしての焦点になってくるのですが、謎解き自体は至極あっさりしていて、多少肩透かしを食わされたような感じでした。一般的にはミステリーというよりも、事件を通して描かれる刑事、検事、記者といった人々の人間ドラマとして評価されているということでしょう。

個人的には最後の最後まで謎を引っ張った割には、ラストが唐突過ぎるように感じられて、そのせいか感動もほどほどといったところになってしまったのが残念です。ちょっと読み方を間違えたのかもしれません。