M-1グランプリ2008・決勝

オードリー惜しかったなあ。まあ、次回の優勝に向けてすべての布石は打ち終えた感じがするので、来年を楽しみに待ちましょう。では、簡単に1組ずつ感想を。


ダイアン「サンタクロース」(6位:619点、個人評価5位)
去年の決勝では、何のインパクトも残せずに去っていたダイアンですが、今年のネタはなかなかよく考えられた内容だったと思います。もともと厳しいトップ出番に加えて、松ちゃんのコメントにあったように、エンジンがかかり始めるまでに少し時間が経過してしまったのが残念ですが、出番順しだいではかなり違った結果になっていたような気がします。


笑い飯闘牛士→交通事故」(4位:637点、個人評価3位)
毎年決勝に進出し、年々優勝に向けたハードルは上がる一方で、どんどん厳しい状況に追い込まれていた彼らですが、そろそろ期待値が少し下がってきたこともあって、気負いすぎずに臨めたのではないでしょうか。今回は初心に戻ったようなスピード感あふれるWボケでかなり復調していたように思います。
本題とは別の話ですが、相変わらず敗退時のコメントが切れ味抜群でした。毎回この一瞬で大きなインパクトを残していくあたりを見ても、お笑い芸人としてのセンスは素晴らしいものがあると思うので、なんとか優勝を果たしてしてほしいですが。


モンスターエンジン「ハリウッド映画に出たい」(7位:614点、個人評価8位)
敗退の時のコメントで本人たちも言っていたように、いかにもボケの手数が少なかったですね。また、現在の彼らの漫才は賞レースよりも、ゆるい雰囲気の舞台がよく似合う印象があるので、今後はM-1向けにカスタマイズしたネタをつくることができるかが勝負になってきそうです。


ナイツ「宮崎駿」(3位:640点、個人評価4位)
大本命だと思っていたナイツですが、ボケの数が多かったということとは別に、ほんの少しだけいつもとテンポが違ったような気がします。尻上がりにペースを上げていく漫才は、いかにもM-1向きで、最終決戦進出は妥当だったと思いますが、この時点で優勝は少し難しいかなという気がしました。メガネのくだりは面白かったです。


U字工事「栃木県漫才」(5位:623点、個人評価2位)
ここは予想以上に面白かったです。個人的には最終決戦に残ってもおかしくない内容だったと思います。正統派漫才としての技術と、内容の独自性、M-1向けにテンポアップした構成、どれをとっても素晴らしかった。地方ネタとはいえ、その地方以外の人も問題なく笑えたんじゃないでしょうか。


ザ・パンチ「ニュースキャスターになりたい」(9位:591点、個人評価9位)
100パーセントの力を出し切ってもかなり厳しかったと思いますが、緊張しすぎでそれすらもできませんでした。番組的に「今年ラスト」枠みたいなのがあるんだったら、この結果を受けてちょっと考え直してほしいところです。彼らにとっては、今後に向けて逆においしかったかもしれませんけどね。


NON STYLE「溺れた少年を助ける」(2位:644点、個人評価6位)
いかにもM-1をめざしてつくってきたネタという感じで、技術はしっかりしていたし、テンポもよかったけれど、いまいち中身が印象に残ってないんですよね。ここまで感想を書いて、内容確認のためにネタを見直す必要があったのはここだけでした。審査員は技術面を評価したということでしょう。


キングコング「ヒーローインタビュー」(8位:612点、個人評価7位)
M-1で勝つための漫才を意識しすぎたことが、裏目に出たかもしれません。スピード感と手数を優先するという方向性は間違っていないと思いますが、その分個々のボケの内容がありきたりになってしまいました。それにしても少し評価が低すぎるような印象もありますが…。


敗者復活・オードリー「引越ししたい」(1位:649点、個人評価1位)
順当に敗者復活を勝ち上がり、勢いをそのままに素晴らしい内容でした。スピード感にあふれ、変化に飛んだボケとツッコミの数々は断然の内容だったし、少し前の話題をもう一回いじる得意のパターンもよかったと思います。もう1本このレベルのネタが用意できていれば、優勝間違いなしだったでしょうけどね。



最終決戦はナイツ、NON STYLE、オードリーのネタ順。


ナイツ「SMAP
審査員はともかく、会場の観客にしても、テレビを見てる人にしても、このネタを見たことがあった人は非常に多かったんじゃないでしょうか。万人にわかりやすい、やりなれたネタで勝負するというのも考え方だと思いますが、個人的にはここに向けた勝負ネタを用意してほしかったですね。


NON STYLE「ホラー映画」
1本目と似たような印象。見ている間は面白いけど、振り返るとあまり記憶に残らない感じです。ただ、最終決戦の3組の中で、唯一ネタのクオリティをあげてきたところは評価したいです。


オードリー「選挙演説」
はじめてこのネタを見たときは、ものすごく面白いと思ったんですけど、さすがに1本目があれだけ素晴らしいと若干見劣りはしてしまいました。1本目にこのネタをやっていれば、というふうに思わなくもないですが、敗者復活であがってきたところが1本目にすべてをぶつけるのは当然だと思うし、確実に最終決戦に進めたかどうかもわからないので、これは仕方のないところでしょう。



審査員の選考による最終結果は、NON STYLE・5票、オードリー・2票ということで、NON STYLEが見事優勝。これまでもファイナリスト候補といわれながら、なかなかこの舞台に立てなかった彼らですが、一気に頂点まで駆け上がりました。本当におめでとうございます!

オードリーは残念でしたが、敗者復活組ということで、演じる可能性の低い2本目のネタが少し弱かったことが敗因でしょう。ナイツも見慣れたネタを選択して、1本目から大きな上積みはなかったように思います。

全体のレベルとしては、昨年よりもかなり面白かったですね。最終決戦進出の3組に加え、笑い飯U字工事、ダイアンあたりもそれほど差はなく、上位はかなり混戦だったと思うので、来年も今回決勝進出メンバーを中心とした争いになってくるのかもしれません。