岡野宏文×豊崎由美『百年の誤読』

20世紀のベストセラーを10年間に10冊ずつ、合計100冊について語りつくす文学対談。前半の教科書に載っているような古典的作品をお題にしている部分は、ブックガイドとしても参考になるし、何より文豪たちがどんな人物だったのか面白おかしく紹介されていて、単純に読み物としても楽しかったです。

前書きでも書かれているように、1960年以降のベストセラーについては、取り上げられている作品自体に魅力を感じるものが少ないです。対談の方も言いたい放題で面白いといえば面白いのですが、トンデモ本紹介に近いノリになってしまっているので、前半の充実ぶりと比較して少し内容が浅くなっている感は否めません。全体的にはブックガイドというよりも、ベストセラーをネタにした読み物といった印象の方が強いですね。先に読んだ海外編が素晴らしいブックガイドになっていただけに、少し残念な感じはします。