有栖川有栖『乱鴉の島』

臨床犯罪社会学者の火村英生は、友人の作家・有栖川有栖と休暇に出かける。だが、彼らがたどり着いたのは、目的地と違う場所だった。鴉が群れ飛ぶ絶海の孤島、通称・烏島―。そこには、世間と隔絶された生活を送る作家、謎の医師、奇妙な起業家など、不可解な目的を持った人々が集まっていた。訝る火村たちの前で、殺人事件が発生する!

安楽椅子探偵』を見て、久しぶりに有栖川有栖の本が読んでみたくなったので、ちょうど発売されていたこの『乱鴉の島』を読んで見ました。
絶海の孤島に、なにやら怪しげな目的をもった人々が集まっており、そこに世間を騒がせている起業家が登場する。いかにも本格ミステリーという道具立ての中、やがて発生する殺人事件…。読んでいる間は非常に楽しくて、さまざまな証拠を条件にあてはめて犯人を指摘する謎解きのロジックには、おお!とうなったのですが、一つだけ残念だったのは最後に明かされる動機。なんかショボい…。パズルをつくるときに、そこだけピースをつくり忘れて最後に無理矢理つぎ足したような…。それ以外の部分がよかっただけに、そこだけがちょっともったいない感じでした。