『ウォンテッド』

2008年 アメリカ(110分)
監督:ティムール・ベクマンベトフ
出演:アンジェリーナ・ジョリージェームズ・マカヴォイモーガン・フリーマン


恋人にも捨てられ、人生にうんざりしているウェズリー(ジェームズ・マカヴォイ)。そんな彼の前に突如現れた謎の美女フォックス(アンジェリーナ・ジョリー)は、ウェズリーの亡き父が秘密の暗殺組織をけん引するすご腕の暗殺者だった事実を彼に知らせる。しかも父亡き今、ウェズリーは組織を継承する立場にあると言い……。

この映画を監督したティムール・ベクマンベトフは、自国ロシアにおける作品の映像の素晴らしさを見込まれて、今回ハリウッドデビューした方とのことです。確かにアクションシーンをはじめとする映像は素晴らしく、アクションの要素のないオフィスのシーンにも異様な迫力があって、監督の映像センスのよさを感じることができました。そういう観点から見ると確かに凄い映画ではあるのですが、残念ながら肝心のストーリーが少し雑な感じでした。「1を殺して1000を救う」という暗殺組織の発想自体、個人的にはちょっと受けいれ難いところがあるのですが、それはさておくとしても後半の列車のシーンは人の命を軽く考えすぎているようで、さすがにまずいんじゃないでしょうか。優れた映像センスを存分に発揮するためにストーリーを組み立てたのかもしれませんが、そのために構成がおろそかになっては本末転倒でしょう。まあ、いいところと悪いところがはっきりしているので、観る人によってかなり感想は変わりそうな作品ではあります。
繰り返しになりますが、映像は素晴らしいです。映画館の優れた音響の中で、激しいアクションシーンを楽しみたい方にはかなりおすすめできる作品だと思います。