ジョナサン・キャロル『薪の結婚』

想い出に値する出来事があるたびに木片を拾う。人生が終わりを迎えるとき、それを薪にして火を熾す――“薪の結婚”。教えてくれたのは最愛の人。彼と住むこの館ですべては起きた。死亡した恋人の来訪、いるはずのない子どもたちの笑い声、知り得なかったわたしの釤罪”。罪と罰、そして贖いの物語は、あらゆる想像を凌駕する結末を迎える。鬼才キャロルにのみ許された超絶技巧!

久々にジョナサン・キャロルの作品を読みました。前半のロマンス小説風味から一転して、後半は非日常が怒涛のように日常を侵食してくる、この著者ならではの意外な展開がたまらないです。作中にちりばめられたイメージの断片、たとえ話によって普遍化される物語のテーマ、中盤から後半にかけての展開から想像される結末を見事に裏切ってくれるラストシーン、どれをとっても一級品。現実とファンタジーを融合させた、キャロルの世界を存分に味わうことができました。