木村元彦『オシムの言葉』

オシムの言葉』が文庫化されましたが、文庫化にあたって第10章が加筆されたということで購入・再読してみました。改めてこの本を読むと、オシム氏ほどの人物が日本代表監督を務めてくれたことが、日本のサッカーにとってどれだけ貴重なことだったかがよくわかります。ジェフの監督時代も含め、彼が日本サッカー界に撒いてくれた種をいかに育てていくかが、これからの日本サッカー界の考えていかなければならないこと、ではないでしょうか。


心に残るオシムの言葉をいくつか。

「サッカーとは危険を冒さないといけないスポーツ。それがなければ例えば塩とコショウのないスープになってしまう。」

「システムは関係ない。そもそもシステムというのは弱いチームが強いチームに勝つために作られる。引いてガチガチに守って、ほとんどハーフウェイラインを越えない。で、たまに偶然1点入って勝ったら、これは素晴らしいシステムだと。そんなサッカーは面白くない。」

「試合の前とかにはほとんど戦術の話はしない。モチベーションを上げるのに大事だと思っているのは、選手が自分たちで物事を考えようとするのを助けてやることだ。」

「攻めるかどうかというのは、人生の哲学とも関わっている。プロの世界だから結果は大事。内容が良いかどうかよりも、やはり勝ち負けが注目されるし、それがプロでもある。そういう意味で、人生の哲学と関わってくるのではないか。」

「攻撃的ないいサッカーをしようとする。それはいい家を建てようとする意味。ただ、それを壊すのは簡単です。戦術的なファウルをしたり、引いて守ったりして、相手のいいプレーをブチ壊せばいい。作り上げる、つまり攻めることは難しい。でもね、作り上げることのほうがいい人生でしょう。そう思いませんか?」