『レスラー』

2008年 アメリカ(109分)
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ミッキー・ローク


かつては人気を極めたものの今では落ち目のレスラー、ランディ(ミッキー・ローク)。ある日、ステロイドの副作用のために心臓発作を起こし、レスラー生命を絶たれてしまう。家族とはうまくいかずストリッパーのキャシディ(マリサ・トメイ)にも振られ、孤独に打ちひしがれる中で、ランディは再びリングに上がる決意をする。

かつて栄光を極め、落ち目になった現在もステロイドを注射し、日焼けサロンに通い、全盛期のような肉体をなんとかつくろいながら現役を続ける老プロレスラー。ある試合の後、心臓発作を起こしレスラー生命を絶たれてしまうが・・・というお話。

主人公の老レスラーが、人生のよりどころを探し求めながらも失敗を重ねことごとく機会を逃していく。そんな彼が最後にすがりつくのはやはりプロレスラーとしての自分しかなかった、というどうやっても情けない男の話で、ラストシーンでの彼の決断も理屈で考えるとバカとしかいいようがないのですが、だからこそ心を揺さぶられるものもあるんですよね。まあ、これはどう考えても男性目線でのかっこよさになっちゃうのかもしれませんが。

そしてなんといってもこの映画で特筆べきはミッキー・ロークの素晴らしい演技。久しぶりの主演で気合が入っていたのか、完全にプロレスラーになりきってましたね。また、これまで彼が俳優としてたどってきた道のりを省みると、20年前の栄光を背負って戦い続ける主人公と、俳優ミッキー・ロークの姿が二重写しになっているようにも感じられて、なんとも味わい深い映画でした。