『12人の怒れる男』

2007年 ロシア(160分)
監督:ニキータ・ミハルコフ
出演:セルゲイ・マコヴェツキー、ニキータ・ミハルコフ、セルゲイ・ガルマッシュ


ロシア人将校である継父を殺害した容疑にかけられたチェチェン人少年の裁判が開始。隣人の目撃証言や物的証拠などから、当初は明らかに有罪だと思われていた事件だったが、いくつか腑に落ちない点があった一人の陪審員(セルゲイ・マコヴェツキー)が、ほかの陪審員に疑問を投げ、審議は二転三転し始める。

シドニー・ルメット監督の「十二人の怒れる男」を、現代のロシアを舞台にしてリメイクした作品。12人の陪審員それぞれにスポットをあててしっかりキャラクターを描き分けているので、誰が誰だか見分けがつかなくなるようなことはないのですが、その分全体がやや冗長になってしまったような気がします。また、事件の検証についてもオリジナルの論理性重視に対して、どちらかというと感情に頼って判断を変えるようなところがあり、展開のスマートさが失われたかなという印象でした。

オリジナルと異なるストーリー展開や、陪審員達の心理描写、そして切れ味鋭いラストなどみどころも多いなかなかの力作ですが、どうしても全体的にくどく感じられるのがちょっと残念でした。