『野獣の青春』

1963年 日本(92分)
監督:鈴木清順
出演:宍戸錠、木島一郎、渡辺美佐子


連れ込み宿で男と女が死んでいた。男は竹下公一、現職の刑事だった。数日後、盛り場のチンピラたちをやっつけてまわるカッコいい風来坊が現われた。たちまちジョーというその男は野本組の用心棒におさまりのし歩いたから、野本組と睨み合っている三光組の小野寺や武智をひどく刺激した。野本組には麻薬につながるコールガールの大がかりな組織があり、それを操る謎の支配者がいるらしい…

原作は大藪春彦の「人狩り」。清順監督の後の作品のように難解なわけではなく、かなりボリュームのあるストーリーをおよそ90分とコンパクトにまとめ、サスペンスフルなシチュエーションがテンポ良く繰り出される、ハードボイルド・アクションの傑作に仕上がっています。個々のシーンのインパクトが大きい分、若干メインストーリーが追いづらい感じもしましたが、オチもしっかりついて素直に楽しめる作品でした。ヤクザの事務所が映画館のスクリーン裏にあるなど凝った映像表現も多く、鈴木清順監督の入門編としてはピッタリの映画ではないでしょうか。