『ナチュラル・ボーン・キラーズ』

1994年 アメリカ(119分)
監督:オリヴァー・ストーン
出演:ウディ・ハレルソンジュリエット・ルイスロバート・ダウニー・Jr


運命的出会いをしたミッキー(ウディ・ハレルソン)とマロリー(ジュリエット・ルイス)は、各地で殺害を繰り返しながらルート666を疾走していた。そんな2人をTVが追って報道、それを見ていた民衆は、いつしか彼らをヒーローとして崇め奉るようになってゆく……。

史上最悪の殺人鬼として犯罪史に名を刻むミッキー&マロリーの軌跡を描く、というあらすじを聞くとボニーとクライドの現代版かとも思いますが、彼らをある種のカリスマとして祭り上げるマスコミ、アメリカ社会を批判的な視点からとらえた社会派映画にもなっているのが「俺たちに明日はない」とは少々異なるところです。

刑務所長・TVキャスターのキレっぷりや、さまざまな手法を駆使した映像表現など、エンターテイメント作品として観れば魅力的な要素が多くなかなか楽しむことができました。ただ、社会派ドラマであることを目指したのなら、犯罪者を肯定するようなラストにはかなりの違和感があります。個々の要素のクオリティは高いにもかかわらず、監督の目指すところがぶれてしまったために、全体としてみると中途半端な印象を与えてしまっているのが残念でした。