『北国の帝王』

1973年 アメリカ(122分)
監督:ロバート・アルドリッチ
出演:リー・マーヴィンアーネスト・ボーグナインキース・キャラダイン


大不況真っ只中の1933年、オレゴン。列車にタダ乗りし各地を移動する失業者たちは“ホーボー”と呼ばれていたが、そんなホーボーを絶対に許さないのが 19号列車の鬼車掌シャック(アーネスト・ボーグナイン)。その列車に乗る事は死をも意味していた。だが、“帝王”と呼ばれる一人のホーボー(リー・マーヴィン)がその19号列車に真っ向から勝負を挑んだ。かくして爆走する蒸気機関車上で、帝王vsシャックの死闘が開始された。

以前から観たいと思っていたロバート・アルドリッチ監督の『北国の帝王』が3月に念願の初DVD化。ようやく購入できたので、早速観てみました。舞台は1933年大不況真っ只中のアメリカ。浮浪者たちは列車に無賃乗車して移動し“ホーボー”とよばれていたが、鬼車掌のシャックだけは絶対にこれを許さず、ホーボーを発見しては容赦なく鉄槌をくだしていた。しかし、ホーボーの間で“北国の帝王”と呼ばれるA・ナンバーワンだけはシャックの裏をかいて彼の列車にただ乗りし続ける…というストーリー。

ホーボーたちには、無賃乗車してどこかに移動するという目的があるはずですが、A・ナンバーワンのただ乗りにはもはや目的はなく、むしろ鬼車掌シャックの列車にただ乗りすること自体が目的となっています。対するシャックも、自らの意地だけのために、異常ともいえる執念をもってただ乗りを阻止しようとし、二人の闘いはとどまることを知らずにヒートアップしていいきます。

言ってしまえば、子供同士の意地の張り合いみたいなもので、冷静に考えると「こいつら何バカなことやってんだ…」と思うこと間違いなし。なので、この映画は難しいことを考えずに、いい歳した大人が最大限に知恵を絞って意地を張り合う姿を、プロレスでも見るように単純に楽しむのが吉だと思います。そういう風に観る限りにおいては、間違いなく大傑作でしょう。