『チェ 39歳別れの手紙』

2008年 フランス/スペイン(133分)
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ベニチオ・デル・トロ、カルロス・ベルデム、デミアン・ビチル


1959年にキューバ革命に成功した後、国際的な名声を得たチェ・ゲバラベニチオ・デル・トロ)。しかし、チェ・ゲバラは変装した姿で家族と会い、最後の食事を済ませると、急に姿を消してしまう。そしてラテン・アメリカの革命を目指し、ボリビアを訪れるが……。

冒頭の感傷的になりがちな家族との別れのシーンから、静かな淡々としたトーンが貫かれている点は前作と変わりありませんが、パート1が革命での華々しい勝利で締めくくられたのに対し、こちらはボリビアでの敗北からゲバラの最期までが描かれています。

キューバでの成功とは異なり、ボリビアにおいてゲバラの目指した革命は共産党の協力や民衆の支持を得ることができず、当初から劣勢の反乱軍は相次ぐ戦闘の中で次第に勢力を失っていくことになります。ここではパート1のようなゲバラの力強さ・カリスマ的な側面はほとんど見ることができず、次々と味方が倒れ、また自身は喘息に悩まされるなど憔悴していく姿ばかりが強調されることになります。しかしながら、どのような厳しい状況に置かれてもぶれることのない、貧困や圧政に苦しむ人々のためになりたいという姿勢こそが、真似ることのできない彼の強さを表しているように感じました。

この映画のラスト、10分近くあろうかという長いエンドロールの大半は無音のまま流れていきましたが、あとで考えると「チェ・ゲバラに黙祷」という、監督からのメッセージだったのかなという気がします。