『シルク』

2007年 カナダ/フランス/イタリア/イギリス/日本(109分)
監督:フランソワ・ジラール
出演:マイケル・ピットキーラ・ナイトレイ役所広司芦名星


1860年代のフランス。蚕の疫病が発生したため、軍人のエルヴェ(マイケル・ピット)は美しい妻エレーヌ(キーラ・ナイトレイ)を残して、日本へと旅立つ。幕末の日本に到着したエルヴェは蚕業者の原(役所広司)が連れていた、“絹”のように白い肌の少女(芦名星)と出会う。以来、エルヴェは少女が頭から離れなくなってしまう。

原作はイタリアの超人気作家アレッサンドロ・バリッコの「絹」という小説です。こういう映画好きですね〜。わかりやすい純愛ドラマとか、世界をまたにかけた歴史ドラマとかではないし、ものすごく感動させるようなシーンがあるわけでもないのですが、登場人物たちの心の奥深くにある想いが、美しい映像を背景に静かに描かれるいかにもな文芸映画。「退屈で眠くなる」といわれると反論しにくいし、好き嫌いはわかれそうですが、個人的には大ヒットでした。

ちょっとネタバレですが、異国で出会った美しい少女が運命の女性なのかと思わせつつ、本当の主題はそこになかったことが明らかになる後半のストーリー展開が素晴らしいです。ラストシーンも非常に印象的で、見終わった後には深い余韻が残ります。日本の描写は多少ファンタジーが入っているものの、むしろ本当の日本よりも美しく描かれていてなかなかいい雰囲気。こういう静かな映画を観ると、なんだかホッとします。