『ツィゴイネルワイゼン』

1980年 日本(145分)
監督:鈴木清順
出演:原田芳雄藤田敏八大谷直子大楠道代


大学教授の青地(藤田敏八)と元同僚の友人中砂(原田芳雄)は旅先で、弟の葬式帰りだという芸者・小稲(大谷直子)に会う。一年後、結婚したという中砂の家を訪ねた青地は、その妻・園が小稲に瓜二つであることに驚くのだった…。

内田百けんの「サラサーテの盤」という小説が原作になっている幻想的な作品で、とにかく映像が魅力的で素晴らしいです。こんにゃくをちぎるシーンや、水蜜桃を食べるシーン、盲目の三人組、切り通しの風景など、一度観たらずっと記憶に残りそうなシーンがいくつも出てきます。
この映画については、ストーリーが面白い、面白くないというような基準で判断すべきではないような気がします。死とエロスというテーマを通奏低音に描かれる、夢と現実との境目があいまいになる世界を、登場人物とともにさまようように味わうのがいいのではないでしょうか。