『セプテンバー』

1987年 アメリカ(83分)
監督:ウディ・アレン
出演:ミア・ファローダイアン・ウィースト、エレイン・ストリッチ


父が遺した山荘で暮らしているレーン(ミア・ファロー)は、親友のステファニー(ダイアン・ウィースト)や往年の大女優である母のダイアン(エレイン・ストリッチ)、ダイアンの現在の夫であるロイド(ジャック・ウォーデン)らと過ぎゆく夏の日を送っていた。ところが母は、父とレーンを捨てて愛人関係にあったギャングの許に走ったという、レーンにとっては忌わしい思い出でしかないスキャンダルな過去を自叙伝にすると言い、レーンの神経を逆なでしていた。さらに、母の伝記を書くために山荘に訪れた駆け出し作家のピーター(サム・ウォーターストン)にレーンはほのかに思いを寄せていたのだが、そのピーターがステファニーを愛していることを知り…

最初から最後まで舞台となる山荘の中だけで繰り広げられる、さまざまな思いを抱えた6人の男女の2日間の物語。報われることのない愛と、各人のエゴが絡まりあい、傷つけあってまた別れていく。彼らにどのような癒しが与えられるのか、映画の中では描かれませんが、きっと秋という季節が、夏に燃え上がった熱い思いを徐々に冷やしていく。タイトルはそんなことを暗示しているのかもしれません。

全編がほぼ室内だけで描かれるため、映像としては派手なところはなく、感情表現も激しいぶつかりあいではなく、あふれ出ようとするものを押し殺すような表現がなされているのですが、これが非常に好み。苦くて切ない大人の恋愛映画、かなりのお気に入りです。