三津田信三『シェルター 終末の殺人』

東京創元社から依頼された長編のため、三津田信三は核シェルターの取材に赴く。奇矯な富豪が自邸の庭に造り上げた生垣迷路、その下にシェルターの入口は用意されていた。迷路を抜け、他のシェルター見学者たちと入口の前に立った途端、空に巨大な閃光が。慌てて中に逃げ込んだ見学者たち。外の様子はまったく分からない。果たしてあの巨大な光は核爆発だったのか。滅亡の予感に怯える彼らを更に連続密室殺人が襲う。何の動機も発生するはずのない初対面の人間同士のなかで、いったいなぜ殺人は続くのか―。

核シェルターの中に閉じ込められた6人。それぞれ初対面のはずが、次々と殺人事件が発生し「そして誰もいなくなった」のような展開に。中盤までは動機は?犯人は?とワクワクしながら読み進むことができたのですが、終盤に入るともしかしてこれはあっち方面にいってしまうのかな…とちょっと不安になって、いくつかのパターンを想像しました。そしてこれが当たらずといえども遠からずな結末で「うーん、やっぱりそっちに行っちゃったか」という感じ。まあサスペンスホラーとしての盛り上がりはなかなかのものがあったし、単純にこういうの好きだから、よしとしましょう。
本筋とは無関係のホラー映画のウンチクがなかなか楽しかったです。近所のレンタルビデオ店で探してみたら、マりオ・バーバの「処刑男爵」を発見したので、ついつい借りてきてしまいました…。