『反撥』

ロマン・ポランスキー監督の1964年の映画。内気で男性恐怖症のヘレン(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、姉の不倫相手が毎日のように自宅に訪れてくることに嫌悪感を抱いており、それがきっかけとなって徐々に精神が不安定に。姉たちが旅行に出かけ一人取り残された彼女は、幻覚になやまされ、そして…。


精神を病んだ女性が部屋に閉じこもって徐々に崩壊していく、あらすじとしてはほとんどそれだけのお話なんですけど、全体的に抑えめの演出が逆に不気味さを増しています。だんだん腐っていくウサギ料理とか、男に襲われる妄想シーン(本当に妄想?)とかいやな雰囲気を醸し出す手法はさすが。カトリーヌ・ドヌーヴのような美人が徹底的に無表情だと迫力ありますね、唯一笑顔のシーンではバッグのなかにウサギの肉が入ってるし。
派手な演出を用いることなく恐怖を存分に表現した、サイコサスペンスの傑作といっていい映画だと思います。