石持浅海『君の望む死に方』

『扉は閉ざされたまま』で探偵役をつとめた碓氷優佳が再び登場するこの作品。今回も、ちょっと変わったシチュエーションが準備されています。


ガンで余命6ヶ月を宣告されたソル電機の社長日向貞則は、自分を殺す動機を持つ社員の梶間晴征に殺されるため、研修と称して梶間を含む幹部候補を保養所に招集する。海外赴任が決まっているため、このチャンスを逃すと日向を殺す機会が失われる梶間は日向の思惑通り殺人に向け動き始めるが…。


加害者と被害者の意思が一致しているという特殊なシチュエーションですが、前作で探偵役をつとめた碓氷優佳が登場していることから、彼女の果たす役割はなんとなく想像できてしまいます。それでも日向と梶間の頭脳を凝らした攻防(というとちょっと変ですが)は読み応えがありますし、なんといっても驚いたのはラストシーンです。終章直前の日向と優佳の会話、そして冒頭へとつながる終章の衝撃はなかなかのもの。これはおすすめです。