『重力ピエロ』

2009年 日本(119分)
監督:森淳一
出演:加瀬亮岡田将生小日向文世吉高由里子


遺伝子を研究する泉水(加瀬亮)と芸術的な才能を持つ春(岡田将生)は、一見すると仲の良さそうな普通の兄弟だ。そんな二人の住む街では、謎の連続放火事件が発生していた。泉水と春は事件に深く踏み込み、家族を巻き込みながら次第に家族の過去にも近づいていくのだが……。

伊坂幸太郎さんの小説はけっこう映画化されているものが多いですね。個人的には伊坂さんの作品に限らず、映画化されたものが小説より面白くなる可能性は少なそうだなと思っているので、これまでは観たことがありませんでした。「重力ピエロ」もどうしようか悩んでいたのですが、いろいろな方の感想を読んでみるとなかなか評判がよさそうなので、今回は観にいってみることにしました。

ストーリーとしては、細かい部分でいくつか変更があった程度で、全体的にはそれほど小説と変わりありませんでした。ただ、小説の方はミステリー的な要素が強かったのに対して、映画版はどちらかというと家族の絆を描いたドラマになっており、小説を読んでネタバレしている人が多いと想像されることを考えると、映画としてはこのやり方で正解だったのではないかと思います。

(ミステリー的な意味だけではなく)伏線の張り方もうまく、小説版のちょっとしゃらくさいところが、よりストレートなストーリーになっていたところも評価したいし、日本を代表する草食系男子・加瀬亮さんや、ちょっと危ない役柄で輝く吉高由里子さんらの演技も素晴らしかった。小説の映画かもなかなかすてたものではないなと、ちょっと認識を改めました。