『独立愚連隊』

1959年 日本(109分)
監督:岡本喜八
出演:佐藤允中谷一郎鶴田浩二


第二次大戦も末期、北支戦線の山岳地帯で敵と対峙している日本軍に、独立愚連隊と呼ばれる小哨隊があった。正式には独立第九○小哨だが、各隊のクズばかり集めて作った警備隊なので、この名称があった。独立愚連隊に行くには、敵の出没する危険な丘陵地帯を行かねばならない。この死地へ、新聞記者の腕章を巻き、戦闘帽に支那服姿の男が馬を走らせていた。

岡本喜八監督の出世作となった1959年の作品。戦争映画ではありますが、その内容はユーモアあり、ミステリー風のサスペンスあり、そしてもちろんシリアスな戦闘シーンありと盛りだくさん。主人公を演じた佐藤允さんの日本人離れした雰囲気をはじめ、他の登場人物も非常に個性的かつ魅力的でした。また、三船敏郎も意外な役柄で登場していて、ちょっと驚かされました。

基本的にはよくできたエンターテイメント映画で、反戦という部分を前面に押し出しているわけではありません。それでもユーモアに包みながら戦争をチクチクと皮肉っていたり、なによりストーリーの根底に戦争の馬鹿馬鹿しさや、その中での個人の無力さなどに対する悲しみが感じられ、軽い外見を装いながらも戦争というものに対する監督の気持ちが伝わる作品になっています。