『ワールド・オブ・ライズ』

2008年 アメリカ(128分)
監督:リドリー・スコット
出演:レオナルド・ディカプリオラッセル・クロウマーク・ストロング


ヨルダンを拠点に大規模なテロを計画する首謀者の手がかりを得たロジャー・フェリス(レオナルド・ディカプリオ)は組織に潜入しようと試みる。そのためには狡猾なCIAのベテラン、エド・ホフマン(ラッセル・クロウ)らの協力が必要だった。味方とはいえ過信ができない不安定な状態の中、潜入作戦実行の期限が迫っており……。

2時間を超える作品ですが、展開が速く、終始緊迫感がとぎれることがないので、全くあきることなく最後まで楽しむことができました。

スパイの諜報活動を描いた映画ではありますが、アクションがメインではなく、また、中東を舞台にした社会派映画でもありません。現場で死の危険にさらされながら活動する工作員と、アメリカ本国で無人偵察機からの映像を眺め、さながらゲームのような感覚で指示を出す上司との軋轢を描く、「事件は現場で起こってるんだ!」みたいなお話です。

CIAの工作員とその上司、そしてヨルダンの諜報機関のトップ。この3人の虚々実々の駆け引きがストーリーの主軸になっていて、「嘘」が大きな役割を果たす話であるのは間違いありません。ただ、この邦題はちょっとよくないですね。なんだか意外なオチのあるサスペンス映画みたいに思われてしまいそうです。

全体的にエンタテイメントとしてのツボはきっちりおさえられており、この手の映画におけるリドリー・スコット監督のうまさは存分に発揮されていると思います。ただ、少しストーリーに凝りすぎたためか、描きたいテーマは少しわかりにくくなってしまっているような気がしました。娯楽映画としては水準以上だと思うけれど、監督のやりたかったことは本当にこれなの?といった印象ですね。