『ラースと、その彼女』

2007年 アメリカ(106分)
監督:クレイグ・ギレスピー
出演:ライアン・ゴズリングエミリー・モーティマー、ポール・シュナイダー


幼いころのトラウマから人とのつながりを避けて生活し、毎日地味な仕事に従事する青年ラース(ライアン・ゴズリング)。そんなある日、彼はガールフレンドを連れて自分を心配する兄夫婦(エミリー・モーティマー、ポール・シュナイダー)と食事をすることに。しかし、ラースが連れて行ったガールフレンドとは、インターネットで注文した等身大のリアルドールだった。

人づきあいの苦手な青年が、初めて恋に落ちた相手は等身大のリアルドールだった…というあらすじを聞くと、いかにも軽いコメディーのようですが、全体的にはユーモラスな雰囲気に包まれているものの、なかなかシリアスなテーマを扱った映画で、これはいい意味で裏切られました。

突然、人形を自分の彼女だと言いはじめたラース。コミュニケーションは苦手でも、純粋で「ミスター・サンシャイン」と呼ばれる彼に、家族や町の人々はとまどいながらも温かく接し、彼らの協力もあって次第にラースは再生していく…。ストーリー展開が少し甘すぎる印象はありますが、周囲の人々のとまどいや苦悩はきっちり表現されていて嘘くささがないし、家族や友人がラースの内面を少しずつ理解していくあたりは、淡々としながらも感動的。精神を病んだ人間に対し、何かを押しつけたり、嫌悪したりするのではなく、あるがままに受け入れ、理解することが大切であると教えてくれる映画だと思います。これはオススメ。