『今宵、フィッツジェラルド劇場で』

昨年の11月になくなったロバート・アルトマン監督の遺作となった作品です。30年以上続いたラジオの音楽バラエティー番組が、放送局の買収によって最終回の収録を迎える。最後となった公開録音の夜の様子を、出演者たちの歌声と登場人物のドラマを交えながら描く、アルトマン監督お得意の群像劇です。


音楽バラエティーショーの終幕と、ある登場人物によって象徴的に表現される人間の死が重ね合わせて描かれていますが、別れを悲しむだけではなく、それを新しい出発として受け入れようというメッセージが優しい視線で語られています。はからずもこのようなテーマを扱った作品がアルトマン監督の遺作となりましたが、登場人物に託されたセリフの一つ一つが監督の遺言のようにも感じられます。